裏稼業を手伝う男性が死体運びのような仕事をさせられて事件に巻き込まれていく漫画「うなぎ鬼」
全3巻と非常に短い漫画ではありますが、ものすごく話しが凝縮されていてとても面白い漫画でもあります。
サスペンス好きにはおすすめしたい一冊。
今回はその「うなぎ鬼」の最終回を読んだ感想となります。うなぎ鬼のネタバレを含む内容となりますので、ネタバレNGな人はこちらをどうぞ。
うなぎ鬼のネタバレがOKな人はそのまま読み進めてください。それではどうぞ!
うなぎ鬼のあらすじ
「知ってるかい?うなぎってのはタンパク質ならなんでも喰っちまうんだそうだ。なんでもだぜ」
こんな意味深な言葉から始まる漫画「うなぎ鬼」
借金に苦しんでいた倉見勝は借金取り立ての事務所で千脇という男性に出会います。
彼は倉見の体格の良さを買い、借金を肩代わりする代わりに千脇の仕事を手伝うように命令します。
千脇の仕事というのは、売春の斡旋などの裏稼業。慣れない仕事でしたが、真面目に働くことで借金を返していきました。
仕事にも慣れてきたところで、ある日千脇から特別手当の付く仕事をしてくれと頼まれます。
その仕事というには、重さ50~60kgのコンテナをマルヨシ水産という社長の弟が経営している工場へ運ぶこと。ただ、それだけ。それだけの作業なのに1回当たり15万円の日当が付きます。
この金額の高さ、そして冒頭の言葉(うなぎは何でも食べる)から連想されるのは、マルヨシ水産は表向きはうなぎの養殖場を装って裏では死体処理の仕事をやっていると。
そして、倉見はマルヨシ水産の仕事をこなしていく内に事件に巻き込まれていきます。
マルヨシ水産の初仕事をこなした倉見と富田
社長の下では主に倉見と富田の二人が働いていました。富田は元キャバクラの店長で同じような理由で社長に拾われていました。
社長から命令された謎のコンテナ運搬。これに倉見と富田の二人で対応することになりました。
話しには聞いていたけど、実際にコンテナ(約60kg)を運んでいる内に「これはやっぱり人間なのでは?」という疑念が二人の頭にのしかかってきます。
さらに、マルヨシ水産がある黒牟(クロム)という土地はどうも普通の街とは違う異様な雰囲気を昼夜問わず醸し出していて悪い想像を余計掻き立てられます。
とは言っても無事に運搬の作業を終えた二人は報酬の15万円を受け取り家路につくのでした。
失踪する富田
初めてのマルヨシ水産でのいかがわしい仕事を終えた倉見と富田。
高額な報酬とは裏腹に、実際に仕事をやり終えた後の二人はかなり消耗していました。
富田は社長からマルヨシ水産絡みの仕事を頻繁に振られるようになり、この頃から富田の様子がおかしくなってきます。
振られている仕事は昼間のなんでもないただの配送なのですが、マルヨシ水産での荷受け作業自体が彼にとっては苦痛なようで・・・それほど、マルヨシ水産での夜の一件は彼の中に影を落としていました。
元々、富田はキャバクラ店長時代、キャストの女の子に手を出し店のお金を横領するなどして転落人生が始まりました。売り飛ばされる寸前まで行ったのですが、社長が面倒を見るということで引き取られ女は借金返済のため風俗に落とされます。
女のため、借金返済のため今の仕事で頑張りますが、マルヨシ水産の件が相当堪えたらしく倉見に軽く挨拶だけして失踪します。
倉見へ近づく女
富田が仕事を辞めたことで売春のドライバーも兼任することになった倉見。
仕事量は増えたのですが、彼は日々の仕事が楽しくて仕方ないといった様子です。
その原因は新人で入ったミキという女性。彼女は倉見のことをカッコイイと言い連絡先を交換し毎日のように連絡を取り合っていました。
しかし、仲間内ではよく思われていないようで相当腹黒いから気をつけてと警告をされます。
最初は、新人で人気の出てきたミキに対してのやっかみだろうと思っていたのですが、彼女が電話で男からお金を巻き上げたと彼氏に話していた件を聞いて倉見はあることを思い出しました。
彼女がこの仕事に就いて間もない頃、妹の中絶費用として10万超のお金を渡したことがあったのです。
男=カモと吹聴していたミキに対して、自分も同じように思われているのでは・・・と不安になった倉見は彼女が送迎車に携帯を忘れていたことをキッカケに携帯を覗いてしまいます。
携帯に保存されていた真実
倉見が恐る恐る携帯を確認すると、携帯に残されていたものは自分を騙したことの証拠。
以前に倉見とドライブデートをする約束でしたが、その日は彼氏から急な連絡が入り約束をすっぽかしたことまで残されています。
その後、ミキが携帯を取りに戻ってきますが倉見が携帯チェックをしていたことに激昂。
今まで、彼に見せたことのないような表情、汚い言葉で倉見を罵倒します。
それに激昂した倉見は車内でミキに襲い掛かりますが、勢い余って殺してしまいます。
いきなり殺人犯となった倉見
不意の事故でミキを殺してしまった倉見。気が動転した倉見は社長にすぐさま電話をかけ助けを要請します。
すぐさま社長が現れ手際よく遺体をマルヨシ水産に運び込み話しをつけてくれます。
ほんの数時間の間でミキの身体がこの世からいなくなってしまったことにマルヨシ水産の黒い噂を確信した倉見。
しかし、それが起因して殺人犯にならなくなった倉見は一方で安堵します。社長からも口止めされてミキは失踪として処理されることになりました。
不意のミキからの連絡
ミキの一件から後悔の念に駆られるも落ち着きを取り戻し始めた倉見。
以前よりも仕事に打ち込むようになりました。
そんな時に不意に届いたミキからのメール・・・
死亡として処理されたのでは・・・
しかし、このメールをキッカケに倉見はミキとまたメールを再開することになります。
とにかく謝罪しろ、というミキ。でも電話には出ない。聞くと暴行が原因で喉が潰れているのだという。
昼夜かまわず謝罪しろと連絡があり、倉見は彼女に会うことを意識し始めます。
同じ時期に失踪していた富田からも連絡があり、彼もミキから連絡があったと話しています。
富田は失踪先をミキを使って調べようとしているのか疑っており、ミキが死亡した事実を知りません。
いや、でも自分がミキを殺したのは現実のはず・・・と半ば混乱状態ですが、後日富田の他殺体が発見されたことで、倉見はミキに会うことを決めます。
ミキの正体は
ミキと会うことを決めて約束の場所へ向かった倉見。結果、拉致されるのですがミキの正体はマルヨシ水産の山木という若手の男性。
実は彼はミキの実の兄で、二人とも黒牟の出身です。
倉見がミキを殺した夜、彼はマルヨシ水産に不在でしたがその後遺品処理をしている時にミキの所持品を見つけてミキが殺されたことを知ります。
携帯を手掛かりに調べた結果、倉見が殺したと結論付け復讐してきます。富田はその最中にとばっちりにあったようなものです。
徹底的に痛めつけられて、殺されそうになりますがヒデさんが助けてくれことなきをえます。
ヒデさんからマルヨシ水産の裏の顔を聞かされた倉見ですが、自分が思っていたほどひどい場所ではありませんでした。
- 殺しはご法度
- 遺体は丁重に葬る
二つのルールを守っており、死体をうなぎに食べさせるような恐ろしいこともせず裏の焼却炉で火葬していたとのことでした。
うなぎ鬼のラスト
色々な一件があり東京を離れることにした倉見。妻との間には子供を授かり、今度生まれてくる予定です。
仕事も社長からもらい、以前と同じような仕事を地方でこなしていました。
ちなみ山木はあの騒動以降、失踪しています。
仕事を終えて帰宅する倉見。自宅では身重の妻が暖かく出迎えてくれます。
妻がそうそうと思い出したように、会社関係の山木さんが訪ねてきたわよと一言。
そこで漫画うなぎ鬼は終了します。
うなぎ鬼の感想
うなぎ鬼はもともと角川ホラー文庫から出版されたミステリー小説です。
高田侑先生による作品なのですが、その小説が漫画化したのがこの作品です。
全3巻と非常に短い話しながらも、ヒヤリとするような怖さが詰まった作品でした。
思いがけず死体処理まがいの仕事をさせられた男が、別のアプローチから事件に巻き込まれていくというのも予想外の展開で非常に面白いものがありました。
死んだはずのミキからメールが届くくだりなんかは最高ですね。漫画ながらにぞくりとしてしまいました。
重厚でかなり面白い漫画ではありますが、全3巻とさくっと読めるのも魅力の一つではないでしょうか。まだ読んだことがない人はおすすめの漫画なのでぜひ読んでみてください。
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